第6回 働き方改革EXPO パネルディスカッション
日本における働き方とワークプレイスの未来を考える

5月29日、東京ビッグサイト会議棟でオフィス業界の有識者5名によるパネルディスカッションを開催致しました。
有料セミナーにも関わらず178名もの聴講者が集まり、テーマに対する関心の高さが伺えました。


<モデレーター>
ジョーンズ ラング ラサール(株) 
プロジェクト・開発マネジメント事業部 グループヘッド
溝上 裕二 氏

当日の様子 当日の様子

<パネリスト>
(株)イトーキ FMデザイン統括部 統括部長 二之湯 弘章 氏
(株)オカムラ マーケティング本部 DX推進室 室長・WORK MILLエバンジェリスト 遅野井 宏 氏
コクヨ(株) ワークスタイル研究所 所長 / consulting & more 代表 若原 強 氏
プラス(株) 商品開発部 部長 兼 ブランド開発課 課長 溝口 寛二 氏

前段

溝上氏
 本日は錚々たるメンバーにお集まり頂いています。「日本における働き方とワークプレイスの未来を考える」というテーマですが、予定調和なしに色んなことを聞いてみたいと思います。
 本日の論点は3つございます。
 論点1は「日本の働き方とワークプレイスの過去~現在~未来」、論点2は「日本の働き方とワークプレイスの課題」、論点3は「明日への課題」とし、日本のワークプレイスはどうあるべきかという議論をしていきたいと思います。
 それでは論点1について若原さんの方からお話を頂きたいと思います。

論点1:日本の働き方とワークプレイスの過去~現在~未来

若原氏

 私は過去を振り返るという役割を担わせて頂きます。タイトルを「『歌』に描かれる働き方」としてお話いたします。
 働き方改革と言われて久しいですが、なぜ改革が必要な働き方に現在なっているのか、その理由と経緯を改めて振り返ることが改革の本質を見誤らないためにも大事と思っています。ただ、単に年表をめくるような振り返りかただとつまらないので、今回は「歌」を切り口にして振り返りを行ってみようと思います。
 働くことが歌われている歌って、結構あるんですよ。そういう歌謡曲を#worksongと名付けて、戦後から現在までの#worksongを収集・分析することで、日本人の働き方の「これまで」を紐解いてみたいと思います。これはコクヨワークスタイル研究所のアニュアルレポート2018のコンテンツの一つにもなっています。
 歌を分析した結果、何が分かったか結論から申し上げたいと思います。
 一つの結論としては「日本人は働く上でのギャップに悩み続けてきている」ということが言えると思います。何のギャップかというと、「終身雇用や年功序列などの高度成長期に確立された仕組み」と「変化し続ける社会や個人」とのギャップです。そのギャップがどんどん大きくなり、そこで生まれたひずみに悩み続けている、というのが日本人のこれまでの働き方を言い表す一つの表現ではないかと思います。
 この「高度成長期に確立された仕組み」というのはいわゆる「サラリーマンという仕組み」とも言い換えられます。ここでのサラリーマンとは男性だけのことを指すのではなく、性別問わず、企業に勤め終身雇用や年功序列で働く人を今回サラリーマンとして呼びたいと思います。今回、#worksongを数百曲収集しましたが、全体を通して最も浮かび上がってきたのはこのサラリーマンの姿でした。
 このサラリーマンがどういう存在だったかによって時代を4分類しました。1960年~1973年(戦後復興~高度成長)を「サラリーマン創成期」、1974年~1992年(安定成長~バブル景気)を「サラリーマン黄金期」、1993年~2000年(バブル崩壊~失われた10年)を「サラリーマン終わりの始まり」、2000年~2018年(景気拡張~世界金融危機~アベノミクス)を「ポストサラリーマンの予感」として時代を名付けました。

 まず「サラリーマン創成期」からご紹介したいと思います。この時代背景をうまく歌っているこんな歌があります。

“♪就職列車にゆられて着いた”(あゝ上野駅/井沢八郎(1964))

 就職列車というのは地方から中卒・高卒の若い学生が労働力として上京する時に集団で乗る列車のことです。まれに見る高度成長を支えるために、大量の労働力が都市圏に必要になったという時代でした。こんな時代背景の中でサラリーマンがどのように捉えられてきたかというと、こんな歌があります。

“♪サラリーマンは気楽な稼業と来たもんだ 二日酔いでも寝ぼけていてもタイムレコーダー ガチャンと押せばどうにか格好つくものさ”(ドント節/ハナ肇とクレージー・キャッツ(1962))

 いいなぁという声も聞こえてきましたね。サラリーマンが守られている立場だったというのがよく分かります。高度成長のためには労働力が大量に必要なだけでなく、安定して供給されることも重要でした。その安定を確保するために終身雇用という仕組みが生まれてきたとも言われています。終身雇用を担保するかわり、会社のために終身で働いてね、というギブアンドテイクの関係が成り立っていました。

 次に、経済の安定成長を迎えた「サラリーマン黄金期」をご紹介します。

“♪アタッシュケースに勇気のしるし はるか世界で戦えますか”(勇気のしるし~リゲインのテーマ/時任三郎(1989))

 当時CMで有名になった曲です。“24時間戦えますか”とか“朝焼け空に微笑みますか”とか、徹夜前提で働くという歌詞がお茶の間に堂々と流れていたという凄い時代ですね。サラリーマンに勢いがあって格好良く、憧れの存在だったということがこの歌から読み取れます。一方でこんな歌も出てきました。

“♪この世は正に大迷惑 逆らうと首になる マイホームボツになる 帰りたい 帰れない 二度と出られぬ蟻地獄”(大迷惑/ユニコーン(1989))

 単身赴任の悲しさを描いた歌です。若干、社畜感が出てきましたね・・。一つ前のサラリーマン創成期に生まれた「終身雇用で守ってあげるので会社のために働いて」という構造において、「会社のために働きなさい」という力が強くなってきたとも言えそうです。ここからバブル崩壊によって一気に時代も、歌詞も変わります。

 次は「サラリーマン終わりの始まり」と名付けた時代です。

“♪不景気のあおりを受けて社内のムードは緊迫しているから”(雨のち晴れ/Mr.Children(1994))

 不景気という言葉が歌詞に現れてきました。リゲインのCMソングとは対照的なトーンですね。高度成長期に作られた仕組みに対し、社会や個人の状況が乖離し始めた時代です。景気の変動に合わせて雇用調整もしたいが、終身雇用制度がネックになったり、先行き見えない中でも実績を出した社員は年次問わず評価していきたいが、年功序列がネックになるなど、それまでの仕組みが逆効果を生むことも出てきました。

 この暗い時代を経て、今につながる2000年代に入ります。

“♪会社をおこした奴がいる 会社に残ったオレがいる あせることないさ あせることないさ 自分に言いきかす 明日がある 明日がある 明日があるさ”(明日があるさ~ジョージアで行きましょう編/ウルフルズ(2001))

 この歌詞は、働くことに対して新しい価値観が出始めてきたとも解釈できそうです。会社の中で出世競争に勝ち残るというのが働く人の全てではなく、自分らしく生きるということが大事ということが表現されています。同じ時期にSMAPの「世界に一つだけの花」という歌が出ましたが、その歌詞でもナンバーワンじゃなくてもオンリーワンでもいいんだということが歌われています。一方でこういう歌も依然としてあります。

“♪派閥 転勤 パワハラ リストラ 偽装も我慢 何があっても知ってもイエスマン 言えるかー!”(闘え!サラリーマン/ケツメイシ(2011))

 凄い歌詞ですね。「明日があるさ」のように働く価値観は変化してきているものの、働く上での仕組みがそれに合わせて変わるにはどうしても時間がかかるため、ギャップに悩むことがさらに増えてきているのかもしれません。そんな中で、こんな歌も出てきています。

“♪だけど何のために、人は働くの? 人に使われたら 負けなんじゃないか? 難しいことは 掘り下げないとさ、わっかんないんだけどね”(労働讃歌/ももいろクローバーZ(2013))

 変わっていく価値観と、変わらない仕組み。そのギャップに悩む中で、そもそもなぜ働くのか?という本質的な問いが歌われています。

 歌詞に描かれてきた働き方を総括します。創成期は「会社に守ってもらう」と「会社のために働く」がいいバランスで成り立っていた時代と言えそうです。それが黄金期になると、「働かされる圧力」がだんだん強くなり、いわゆる社畜感もこのころから表れてきたのかもしれません。そこからバブルが崩壊すると「会社に守ってもらう」も崩壊して非正規雇用が増えたり、年功序列の仕組みが逆効果となって優秀な人材を健全に評価できない、などという状況が出てきました。さらに時代が進むと、出世だけが人生じゃないという新たな価値観も生まれてきました。一方、高度成長期に作られた仕組みはまだまだ残っていて、そのギャップに悩みつつ、そもそも働くとは何?という問いが各所で沸き起こっている、という今につながるのではないでしょうか。
 働き方改革がすべきことは、この「サラリーマンという仕組み」と「変化し続ける社会や個人」とのギャップを埋めることなのかなとも思います。残業を削減するとかリモートワークを導入するなどはあくまで手段であって、その手段を盲目的に追っていくだけだと本質を見誤るのかもしれません。なぜいま働き方改革をしなくてはならないのか、ということを理解するために、日本人の働き方の変遷を歌謡曲を通して振り返らせて頂きました。

溝上氏

 過去とのギャップを歌から考えるという題材は初めてでした。面白かったです。ミュージシャンの人って改めて凄いなと思いました。時代を肌で感じつつ共感を得るというのは高い感性が必要ですね。
 若原さんからは過去を振り返りながらギャップをどう埋めていくのかという話をして頂きました。次に二之湯さんからそれを受けてのお話をお願いします。

二之湯氏

 私には「現在の日本のワークプレイスに必要な変化とは」というお題を頂きました。先ほどまで過去の振り返りをして頂きましたが、これからの日本のワークプレイスはどう変わらなくてはいけないのかというお話をさせて頂きたいと思います。
 「#Love where you work」という言葉をご存知の方はいらっしゃいますでしょうか?私が海外で仕事をさせて頂いた時に、とある企業のエントランスに書かれていた言葉です。なぜここに書かれているのかを教えて頂いた時に、人様のオフィスで泣き崩れてしまいました。この言葉に私は日本の働き方改革の本質が表れているのではないかと思います。
 そもそも働き方改革ってなぜしなくてはならないのでしょうか?いろんな理由がありますが、おそらく一番大きな骨格を成すのは生産性の向上、GDPの向上、これに尽きると思います。いま490兆円ある日本のGDPを600兆円にどうやって増やすのか。これが大きな命題となっています。なぜか。日本の人口はもう減っていっているからです。ご存知の通りオーナス期を迎えて凄い勢いで人口が減っています。厚生労働省の資料では2100年には5000万人を切ると言われています。これは1900年頃、日露戦争の頃あたりと同じ数で、その30年前は明治維新の頃です。あと80年経つと日本の人口はそこまで減ります。もう無理なんですよね。
 もう一つ、日本の生産性を考えてみたいと思います。日本のGDPは世界3位ですが、一人当たりで考えると一気に22位くらいまで下降します。G7の中で1970年代からの調査ではダントツで最下位です。何を意味しているのかと言うと日本のGDPは1億3000万人で支えてきたということです。G7の中で1億人を超えているのはアメリカと日本だけです。その日本の人口が減っていきます。もう一人当たりの生産性を上げるしかないんですね。
 生産性=成果÷投入量という式があります。成果を最大化するために、改善ではなくイノベーションが必要だと言われています。今度はイノベーションをどうやって起こすのかという議論が出てきます。その中の大きな一つの解として「ワークエンゲージメントを最大化することが生産性の最大化につながる」と言われています。ワークエンゲージメントとは簡単に言うと「組織やチームの高い目標に対して、高いモチベーションでコミットしている状態」のことです。高い目標に対し「よし達成しよう」と考える状態です。確かにこれがあると生産性が上がりそうですよね。しかし日本はワークエンゲージメントが格段に低いとされています。
 ワークエンゲージメントを最大化するためのキーワードに「自己裁量」が挙げられます。自己裁量とは働く時間・働く場所・働く相手を自由に選べるということです。確かに自由があるとモチベーションが上がりますよね。これを約3000人にアンケートを取って調べてみました。
 生産性実感では自己裁量が大きいと思っているワーカー多数が「自分は生産性の高い仕事ができている」と回答しました。逆に、毎日定時に出社して同じ場所で上司の前に座っている自己裁量の小さいワーカーはその半分の割合しか生産性の高い仕事ができていると考えておらず、ほぼダブルスコアになりました。
 もう一つ、ワークエンゲージメントについてで聞いたところ、自己裁量が大きいワーカーと小さいワーカーでは1.5倍の開きがありました。
 ただ、「いつでもどこでもだれとでも」というのはある一定の職種に限られるのではないかという疑問があります。営業のようにある程度自己裁量を大きくできる職種と内勤とでは違うのではないかと考えられますので、外出頻度をキーに聞いてみました。「外出が多いワーカー」「たまに外出するワーカー」「内勤ワーカー」の3つに分けましたがほとんど差がありませんでした。事務所にいる人でも自己裁量が大きいと考えているワーカーは生産性実感もワークエンゲージメントも高いという結果が出ました。
 では自己裁量はどうやって大きくすればいいのでしょうか。日本のワークプレイスをどのように変えていくべきか、3つの軸でお話をします。「行動デザイン」「ITデザイン」「ワークプレイスデザイン」の3つが必要であると考えています。
 まず行動デザインについて。「働く」を変化させる為に変えなければならない事とは「信頼関係の再構築」であると考えています。私も普段、ABWという働き方をしています。
 大勢の部下がもう目の前にはいないんです。出社しているのか、仕事をしているのか分かりません。そこで一番大事なのは、企業のガバナンスというのは上下関係で構築されてきましたが、私はもう「部下はちゃんと仕事をしていると信頼するしかない」ということです。一方、自己裁量を与えられたワーカーは、その自由の中で確実に仕事をして成果を上げるということにコミットしないと、この働きは成立しません。ここが乗り越えられるかどうかが、働き方改革の大きなカギではないかと考えています。管理者はマネジメントスタイルを信頼という言葉で変えながら、ワーカーは自律性を発揮してそれに応えるという行動変容ができるかどうかがものすごく重要となります。
 これができた上で、ワークプレイスデザインはどうなるのか。「自席は何も支援していない」「会議室は何も支援していない」と挙げました。いま高度な仕事を皆さんやっていらっしゃると思いますが、考えてみて下さい。例えば報告書を書くという業務と、本当にお客様に価値のある情報を伝えるということをなぜ同じ自席という空間でできるのか。必要な環境は絶対に異なります。静けさも視界のコントロールも違えばパソコンの容量も違うかもしれません。でも自席があるがゆえに全部をマルチタスクでこなさなければなりません。ここでは生産性が上がるはずがないと思います。また会議室は、面談をする場所とアイデアを出す場所がなぜ一緒なのでしょうか。これも会議室というマルチタスクの場が生産性を押し下げていると思います。もっと分解してどんな部屋がどんな具合に必要なのか、ワークプレイス自身が業務をどんな風に支援していくのか、ここを目指さない限り生産性は絶対上がらないと思います。これがワークプレイスデザインの大きな変化です。ですから「会議室はいくつ欲しいですか」とは私たちはもう聞かないようにしています。「どんなことをやっているんですか」と聞くようにしています。
 最後にITデザインです。今までは直行直帰をするためにiPadを貸してあげようとか、働き方を支援するためのITという考え方でした。でもそうではなく、ITを通して「仮想のオフィスをいくつ持てるか」が今後のキーになるかと思います。仮想のオフィスですが、私は会社のグループチャットに4つほど参加しています。つまり別々のメンバーと4つの仮想オフィスで一緒に仕事をしていることになります。チャットのやりとりを数えたら昨日だけで1000を超えました。リアルなオフィスでのやりとり以外に大阪などとのチャットが1000を超えているんです。これが凄い新鮮で、ITはこうやって使うんだなあと思いました。ITの使い方も大きく変わってきています。
 この3つが包括的に変わる事によって働き方って変わるんだと思います。それを達成する戦略がABWだと言っていますが、3つのことがしっかり行動変容に建てつけてられていればABWじゃなくてもいいと思います。
 「ABW(じゃなくてもいいです)はガバナンスを「信頼」に変えることでワークプロセスを劇的に変化させる。ワーカーは高いエンゲージメントのもと生産性を最大化させる」とまとめました。
 初めにお話した「#Love where you work」について私の解釈でお伝えさせて頂きたいと思います。この言葉を発した従業員の方は亡くなりました。最期に病床からツイートされたのがこの言葉です。私は「あなたが仕事をしているところを愛しなさい」と訳しましたが、どうすれば死ぬ間際にこう言えるのかと思いました。どんな働き甲斐を会社は彼女に与えていたのでしょうか。彼女はどんな働き甲斐を持って会社に貢献していたんでしょうか。ワークエンゲージメントが最大化されていたことがこの言葉に表れていると思います。この言葉はグローバルなその企業様の全てのオフィスのエントランスに掲げられているそうです。
 こんなエンゲージメントが高くなるオフィスを今後も作っていきたいですし、ワークプレイスの変化のポイントもここにあるのではないかと考えています。ありがとうございました。

溝上氏

 自己裁量と信頼感、ABWを使いつつどうワークしていくか、その仕事をいかに愛せるか、未来を示唆するようなお話だったと思います。
次に溝口さんの方から日本の働き方とワークプレイスの課題についてお話を頂きたいと思います。

論点2:日本の働き方とワークプレイスの課題

溝口氏

 私のパートは、日本における働き方とワークプレイスの未来というところに対して、「いま」皆さんが抱えている課題についてお話できればと思います。
いま「フルマイ」の多様性と「テイスト」の広がりというところでオフィスが変わってきています。
 ワークプレイスマップですが、縦軸がテイスト軸としてカジュアルとトラディショナルで分けました。横軸はフルマイ軸としてレガシーオフィスとクリエイティブオフィスで分けました。オフィスの変化はカジュアル・クリエイティブな方向に動いているかというとそうでもなく、全方位に動いていますが、何となくカジュアルな方がクリエイティブな印象を与えられるかなと思っています。ABWもクリエイティブなオフィスの方が実践されているなと思います。
 フルマイ軸について、私たちの会社は「IGOCOCHI Making」という新しい働き方のフルマイを提唱しています。働き方の課題を解決するシーンの提案です。
 オフィス学会の大会で発表した内容ですが、多様性が求められてくると「集中/協働/交流」という3つの行動モードを支える環境が必要になるというのが軸となる考え方です。オフィスの空間が「組織の配置」から「機能の配置」に変化しているというのは皆さん実感されているところかと思います。マップで見ると、横軸は汎用性機能空間から専用機能空間に移り、縦軸は集中空間から対話空間まで幅広い機能が求められてきています。
 「集中/協働/交流」という3つの行動モードを支える業務を6つに整理して定義しました。これも皆さん実践されていると思いますが「ふらっと留まる」「わいわい討議する」「てきぱき作業する」「じっくり集中する」「さくっと共有する」「ゆったり熟考する」、この業務に適した機能を配置したオフィスを歩き回って新しい気づきを得ようというのが私たちの提案する「IGOCOCHI Making」です。
 先ほど6つの業務に整理しましたが、縦軸をグループワークとソロワーク、横軸を情報処理・知識処理・知識創造で分けて、6つのフルマイを配置してみました。その時に一緒に課題も配置することができます。例えば「ふらっと留まる」というフルマイでは「カフェがうまく稼働しない」という経験をされた企業様も多くいらっしゃると思います。また、「さくっと共有する」というフルマイでは「隣の人が何をやっているか分からない」という課題があり、分からないまま仕事をしていて生産性が落ちているということにつながっています。「じっくり集中する」ところでは話しかけられない状況を作りづらいとか、「ゆったり熟考する」ときにオフィス内にアイデアを出しやすい空間がないという課題があります。この辺りの課題に対して改善にトライをしていくと何かしら解決策が出てくるかと思います。
 また、私たちは働く600人に対してアンケートを取ってみました。テレワークって気になると思いますので情報を共有させて頂きたいと思います。
 「あなたの会社ではテレワークの制度がありますか?」という問いに対して「会社がテレワークを認めている」と回答した人は26.0%でした。「認めていない」というのが51.3%もあり、まだまだテレワークを実践している企業は少ないなという印象です。
 「(認められている26.0%の方に)あなた自身はテレワークを実行していますか?」と聞きますと「実行している」「したことがある」という回答が実は55.3%しかいないという状況でした。先ほどマネジメントスタイルを変えるとかチェンジマネジメントという話がありましたが、信頼関係とか仕事の関係性が関わっているのだろうなと思います。テレワークを実践するのはなかなか難しいなと思いました。
  次に「テレワークを実行していてもオフィスが必要か」と問いました。「とても必要」「やや必要」という回答が71.7%となり、これがバーチャルのオフィスを指すのか今のオフィスを指すのかまでは分かっていませんが、現時点ではオフィスという場はやはり必要という意見でした。
テレワークのメリットは「移動時間、ストレスの軽減、ダイバーシティ対応」、デメリットは「仕事のON/OFFがしづらい、ちょっとした相談・確認ができない、コピー機やスキャナなどのツールが利用しにくい」というものが挙がりました。
「テレワークを実行している場合、オフィスで何をしたいか?」に対し、「社員同士のコミュニケーション」34.8%、「社内の人の打合せ」「自分だけでは結論を出しにくい相談」がどちらも34.5%となり、コミュニケーションに対するオフィスの可能性が分かったと思います。
 テレワークのトライアルについて冊子にまとめておりますので、私たちのWebサイトからぜひお申込みください。(https://kagu.plus.co.jp/ebook/okita2/
 最後に、コミュニケーションや会話の際に必要とする場としては、6つのフルマイの中でも特に「わいわい討議する」「さくっと共有する」というところに重きを置くというのが一つの方向性かなと考えています。

溝上氏

 テレワークについて51%が認められていないというのが衝撃でした。これでいいのかなあという疑問を感じてしまいました。
最後に遅野井さんの方からオフィスの未来についてお話を頂きたいと思います。

遅野井氏

 私は実はオフィス業界外から来た者でして、新卒でCanonに入り、働き方改革とは無縁の業務を10年くらいやっていました。日本を代表するような製造業の中で非効率な働き方であったりを改革したいなという思いがあって社内でITコンサルタントをやった後にマイクロソフトで働き方改革コンサルタントをやって、2014年からオカムラに来ました。「WORK MILL」というプロジェクトを立ち上げたのが大きなミッションでした。働き方を考えるプロジェクトで、様々な情報発信を手掛けていこうとして、悲願だったメディアを持つことができました。いろんな実証データや軌跡を見る事ができますのでworkmill.jpからぜひご覧下さい。4月からはDX推進室の室長となり、オフィス・ワークプレイス・家具という領域にIoTを持ち込んでデジタルトランスフォーメーションを担当しています。
 さて、昨年11月に公開した「Tomorrow Work 202X」という映像をご覧頂きたいと思います。

http://www.okamura.co.jp/company/tw202x/

 フューチャービジョンの映像を作りたくて悲願が叶って作ったものです。フューチャーと言えどもあまり遠い未来のことを描きたくなくて、もしかしたら来年実現しているかもしれないし10年後かもしれないということで2020年代という設定にさせて頂きました。
 朝、遅刻しそうになってパンをかじりながら出かけるというベタな設定もありましたが、未来に込めたメッセージとして10個のキーワードで表現できるかなと思います。技術的なものを5つ、人間の営みに関わるものを5つ挙げています。
 一つめがAIです。AIが家の中とかいろんな所にアンビエントに存在するんじゃないかと想定しています。洋服の提案をしてくれたり家族の成長を見守ってくれたり、なおかつ人格を持ち、親しみ易く家族の一員であるかのような存在でお母さんにとっての姪、娘さんにとってお姉さんというキャラクターを持たせ、最後にはあえてAIがとぼけるというような描き方をしてみました。
 次はxRとしてまとめましたが、VR/AR/MR/SRといろんな形での仮想現実がより身近になってくると考えています。場面ごとに最適な、ホログラムで会議をしたり、没入型のVRを選んだりできる技術が進むと考えています。
 そして、いろんなところで生体情報が活用されるのではないかと考えています。顔認証でセキュリティゲートを通過するというのは実際のオフィスに採用されてきていますので技術的には相当な進歩を遂げてきています。またセキュリティだけでなくいろんな場面で生体情報が補ってくれることを想定しています。どこまでの情報を提供してどれだけの利便性を得るのが適切なのかという議論はありますが、よりスマートな生活が送れるようになると思います。
 また、いろんなところで健康状態がモニタリングされる環境を想定しています。集中力の低下を検知して休憩のタイミングを教えてくれるというのをご紹介しました。よい形で生産性を高められるようにアシストしてくれるという環境です。
 ウェアラブルデバイスもどんどん進化するのではないかと考えています。Appleウォッチのようなデバイス然としているものだけでなく、おしゃれなアクセサリーの中に組み込まれるようなことが当たり前の時代になるのではないかと考えています。
 いつでもどこでも働けるからこそ、つながりがすごく大事になってきます。海外出張中のお父さんと家族の団欒を共有することができ、つながりをより強くすることができます。
 また私たちはオフィスの会社ですので、対面でのコミュニケーションをすごく大事にしたいなと考えています。どこでも働けるからこそ、対面でのコミュニケーションの価値というのは近くて声色も聞けますし手元で資料も見れますし非常にリッチな情報共有ができるコミュニケーションです。あとテレワークがうまくいくのも物理的に実際に会ったことがあるからうまくいくという側面もあると思います。ですから対面コミュニケーションが生み出す価値というのが高まっていくのではないかと考えています。
 あとセレンディピティがすごく大切な要素ではないかと思います。創造的な発想をいかに偶然的なきっかけで手に入れるかというところを物理的なオフィスが担ってくることになるかもしれないと思っています。後輩が声を掛けるところを描きましたが、少し前までオフィスには多様性が乏しいから、外に出てコワーキングスペースのようなところで仕事をしましょうという風潮がありました。確かにコワーキングスペースは多様性に溢れていて、オフィスの中にない色んなコミュニケーションが取れるようになっていますが、例えば私たち登壇者のようにモバイルワークでどこでも仕事ができる環境が整っている人が増えています。会いたい人に会いに行く、行きたいところに行くという時代ですが、オフィスに戻ると逆に特定多数の人に声を掛けられるという状況になっています。一周回って逆にオフィスの方がセレンディピティが高まっているのではないかとも考えています。そういう意味でも、テレワークが盛んになっている時代になってもセンターオフィスが果たす意味というのがあるのではないかと考えています。
 そしてオフィスにもたらされる価値というのはダイバーシティというのも大きなものがあります。先ほどの映像で打合せ相手がスペイン語で話している時に字幕を出しませんでした。これは同時翻訳によって日本語で聞いているという設定にしたからです。横にいる男性は韓国人ですが彼もハングルで聞いており、言葉の壁による制約が外されているという世界を描きました。
 人間は五感でいろんな刺激を受けて生活しています。五感への刺激をリアルに体験する時に、一人ではなくこの場所でこういう議論をしたよねという共有体験というのもやはり重要な価値になっていくんじゃないかなぁと思っています。情報はどんどん増えていきますが、リアルに感じるということが重要な意味を持つことになると思います。
 10個のメッセージを映像の中に込めました。この映像を作るときにベースとなったのは次の考え方です。
 これまでの働き方は、オフィスという場所に定時に行くことができる人しか働くことができなかった時代です。ですから結婚や出産や育児で辞めていくという社員が出現せざるを得なかったんです。今は時短勤務制度とかでこの部分が解放されつつあります。ただ制約のある人がまだ色んな不都合や不利益を受けているのではないかと感じています。これが未来にはあらゆる制約が制約ではなくなる社会になるのではと想像してこの映像を作り始めました。
 例えばいま秘書は上級マネジメントの人しか持てませんが、新入社員でもAIがアシストしてくれるという時代になると思います。つまり年齢や経験の制約を外すということになります。自動翻訳も言語による制約を外すということですし、家族との遠隔コミュニケーションも距離の制約を外すということになります。また長寿命化していっていますので年齢の制約を外すということにもなります。いま真剣に考えているのは、子どもでも働けるという社会です。これは児童労働ということではなく、子どもも社会の中で価値を発揮しながら働くということで年齢の制約を外せるんじゃないかなと思います。あらゆる制約が制約じゃなくなるという社会というのが、私たちが描いていく未来の社会ではないかと考えています。そこにテクノロジーがどのように追随していけるか、オフィスのあり方はどうなるのかというメッセージをこの映像に盛り込みました。ありがとうございました。

溝上氏

 映像がすごくリアリティある近未来を表していて、こういう時代が早く来て欲しいと思いました。

遅野井氏

 あの映像を作った時に社内からはすごくツッコまれたんです。「この映像、女性が完璧すぎません?朝、洗濯物を干してテレビ会議をやって日中も働いて夜にはから揚げまで揚げている…。完璧すぎる」って。でも今はすごい時間のかかることを完璧にこなしているように見えるんですけど、2020年代にはいろんなことがサービス化されて手間が簡略化されていて、簡単にできるようになるかもしれないよねという説明をしました。

溝上氏

 当社も女性が増えてだんだん男性の肩身が狭くなってきました。その辺も踏まえてこれからパネルディスカッションを始めさせて頂きたいと思います。

論点3:明日への課題

溝上氏

 今の完璧すぎる女性像も実はもう現実化しているかもしれません。また、ミレニアル世代やGenZやジェネレーションギャップのお話が出てきました。それに対してこれまでの日本人の働き方へのメンタリティとかが変わってきていると思いますが、それになかなかついていけない人もいる。若い人はジェネレーションギャップを感じていて、おじさん達はどうすればいいのと思っているということもありますが、日本の社会全体でどうすればいいと思いますか。

若原氏
 世代論に関して言えば、世代の価値観の違いも多様性の一つですよね。なので、多様性とどう向き合うかという問いにも置き換えられると思います。この問いに対しては、「相手を理解するということにも限界があるのではないか」と考えています。ですので「異なる」「分かり合えない」ことを前提として「どうするか」を考えるようにスタンスを切り替えることが重要ではないかと思います。若い世代に若くない世代の考え方をそのまま押しつけることもその逆も不可能ですよね。だから答えが無いというのではなく、前提としつつどう考えるかという視点の切り替えが必要だと思います。
溝上氏

 いまハッとしました。よく家の奥さんからも「あなたとは一生分かり合えないかもしれないわ」と言われてしまっていて…(笑)。考え方も人も違うんだということを前提とするということですね。日本人って島国で割と同じような感じだけど実は分かったフリをしていることもあるかもしれませんね。

若原氏
 その状況って日本だけかもしれなくって、異なる人種が共存している環境で生活している人たちは、自然とそういった違いを前提としているのかもしれませんね。
溝上氏

 違いを前提にすればギャップも理解できるということですね。わかりました。その時に日本の中でのエンゲージメントが低いというお話がありました。弊社でのエンゲージメント調査では世界の40%の人はエンゲージメントが高いけれども日本は24%しかエンゲージしていない。問題はディスエンゲージメント、大嫌いという人が日本は21%もいる。これに関して先ほど二之湯さんからエンゲージメントの大切さをお話頂きましたが、なぜ日本は低いのか、どうすればエンゲージメントを高めることができるのかについてご指摘をお願いできますか。

二之湯氏

 日本のエンゲージメントは世界最下位だと思いますが、どの項目が低いのか調べました。「会社が従業員の能力を最大限引き出していると思うか」は平均63%のところ日本は39%で最下位。「会社が従業員の価値を認め尊重していると思うか」は平均56%のところ日本は34%で最下位でした。
 やはりエンゲージメントを高めていくことを考えると、ハーズバーグの動機付け理論が大事じゃないかと思います。例えばエンゲージメントを高めるためにインセンティブをたくさん与えても、不満がない状態になるだけで解消していないということになります。ではどうしたら動機付けで高くできるのかと言うと「仕事そのものを好きになる」ことが重要だと言われています。日本で今後やっていかなくてはいけないのは「仕事そのものをどうやって好きにさせるか」、逆に言うと「どうやって好きなものを仕事にしていくのか」ということが重要ではないかと思っています。

溝上氏

 究極的には今やっている仕事が大好きで、子どものように遊んでいる感覚で仕事ができればいいということですかね。

二之湯氏

 そうだと思うのですが、無理だとも思うんです。私も社畜のような人生を送ってきたので…(笑)。絶対にできないと思っていたんですが、でもこれからのGenZの方ならできるんじゃないかと思いますし、日本の未来には希望があるなと思います。

溝上氏

 違うベクトルの人たちが台頭してきた時に、それを認めていくと日本の社会が変わっていき、さらに今までの感覚で生きてきた人もそれに刺激されて自分が何をすればいいのか考えていくということですね。

若原氏
 ワークエンゲージメントと言うときに、「会社に対するエンゲージメント」なのか「仕事に対するエンゲージメント」なのかは結構大事な観点だと思います。今のお話で言うと若い人たちの方がどちらかと言うと「仕事に対するエンゲージメント」を重視しているような気がします。エンゲージメントを高めようという企業の立場からすると、会社か仕事かどっちに向けるのか意識することが大事だと思います。
溝上氏

 会社に勤めるというより自分のやりたい仕事に人生を捧げたいという人が増えている気がしますね。そうなると今後の100年人生に対してどうすればいいのか、遅野井さんどう思われますか?

遅野井氏

 日本の社会っていろんなところで分断されていると思います。小学校、中学校、高校、大学、社会人というような区切りがあり、一度卒業したら戻れません。やはりリカレント教育が日本は大きく立ち遅れているというのもあると思います。分断を越えて、いつまでも学び続けられることが大事だと思いますし、ABWもその一つですが働き方の潮流は時間と場所の自由度がどんどん増していますし、長寿命化していますので、自分の人生を会社に預けるのではなくて、自分の人生を自分で設計するということをみんなやらなくちゃいけなくなってくると思います。ですので、学び直してどういうスキルを手に入れたいのかを考えないといけません。
 日本は終身雇用で守られてきたので、自分がどんなことをしたくて、どんなスキルを持っていて、どんなことが強みなのかという質問に対して極めて無防備だと思います。私は転職したことがあるのでそのタイミングでキャリアを振り返るということがありましたが、振り返る機会がない人が意外と多いと思います。その時に自分のエンプライオリティをいかに高めていくのか考えるということが人生100年時代には大きな意味を持つと思います。

溝上氏

 さっき子どもが働くというお話がありましたが、子どもが働いて仕事を取られたら私は何をしようってちょっと心配になりましたが、人生まだまだあるので学び直せばいいということですね。先ほどの制約のお話の通り、いくつになっても学ぼうと思えば学び直せるし、社会にも帰ってこれるしというような社会を作っていきたいですね。そんな社会の中で自分たちはどう働くのか考えないといけないですが、ちょっとお話の系統を変えてみたいと思います。
 働き方については未来が見えてきましたが、働く場について考えてみたいと思います。
 個人にはやりたいことがあって、働き方があって、それを支えるインフラ(ワークプレイス・IT・制度)があります。組織Aにも組織Bにもそれぞれ用意したものがあり、個人は折り合いをつけながら働いています。ワーカーは考え方の違いもジェネレーションギャップもある中で自律的に働いていかないといけません。その時に「場」はどうあるべきか、働き方を変革する「場の力」はあるのか、新しいことやりたいことをしたいと思ったときにそれを支える「場の力」というものがあるのか、溝口さんいかがでしょうか?

溝口氏

 場の力は確実にあると思います。オフィスにはワークプレイスとワークスタイルと企業風土というものがあって、そのバランスが大事かなと思いますが、その中で場を変えることでワークスタイルや企業風土を変えていこうという流れを作ることができます。どんな風に変えていくかというのは企業ごとの考え方だと思いますが、場に力がないとすれば次にいけないと思いますので場には確実に力があると思います。

溝上氏

 では私たちはそれを信じて、働き方も考えるし、場はどうあるべきかを考えて、未来を作っていくという感じですかね。

 最後に、日本のワークプレイスの第一人者の方たちに集まって頂いているので「日本の今後のワークプレイスづくりとは」「場づくりのプロとしてこう考える」というものを皆さまへのアドバイスとして一言ずつお願いします。

若原氏
 ABWという言葉がかなり出てきましたが、オフィスの中だけでなく、街全体を対象としたABWが大事になると思っています。オフィスじゃなくても働ける時代、オフィスも働く場の選択肢の一つとしてとらえた時に、会社が構えるオフィスのあり方ってどうあるべきかが大事だと思います。オフィスの外でできてしまうことはオフィスで受け止める必要がないとすると、あらためて残されるオフィスはそもそもどういう場であるべきなのか、というのも大切な観点だと思います。
二之湯氏

 ワークプレイスづくりも重要ですが、行動変容をいかにするかだと思います。ガバナンス体制を信頼関係にいかに変えていくかが重要ではないかと思います。場作りにおいては行動をフューチャーして行動を支える場はどうあるべきか、自席と会議室の二つで考えるのはもうやめましょうというのがポイントになってくるかなと思います。

溝口氏

 二つあるなと思っていまして、一つはチェンジマネジメントを意識しないといけないと思います。それはマネージャーもジェネラルもそうだと思います。もう一つは作った場をどういう風に変化させていくか、作った場をより活用できるように作り替えていくかということも大事だと思います。この二つをやり続けることで「自分たちらしい場」を獲得できるんじゃないかと思います。

遅野井氏

 ちょっと視点を変えます。先ほど顔認証のお話をしました。オフィスにも採用されて最新のテクノロジーですよと紹介しがちですが、この技術は障がい者雇用の促進だと考えています。車いすの方や手足を欠損された方がカードリーダーを使うのが大変だという時にこの技術が役に立ちます。そういう意味ではテクノロジーが進化してオフィスに導入されていくということは多様性を担保するということにつながります。これが「制約が制約じゃなくなる」ということでして、テクノロジーの進化とオフィスへの盛り込み方に私は大きく期待をしています。

溝上氏

 では今日のまとめです。分かったことがいろいろありました。
 「働き方」や「ワークプレイス」の改革はものまねではダメだということがよく分かりました。自ら考えて未来を作っていくということですね。
 ワークプレイスは体験によって成長する場であり、ブランドや改革を表現する場であるということ。また、テクノロジーのお話もありました。
 「働き方」や「ワークプレイス」の改革は各組織の特徴を生かして独自のものにすることが差別化につながり、日本のクリエイティビティと生産性の向上につながる。そして人生100年時代について皆さん一人一人が考えることがすごく大切ではないかと感じました。

 未来はやってくるものではなくて、作っていくものということが自主性・自律性ということも合わせて感じられました。

 本日はどうもありがとうございました。

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